未来日記(2006)

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以下、ネタバレを多く含む。

2018年6月4日:制作途中

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えすのサカエによる未来日記(2006)という作品。これ、話題になってはいたのだが実際に見たことはこれまでなかった。一見、ヒロインである我妻由乃が目立ってしまうが、全体として非常によく練られた作品であると思う。これまで、シュタインズ・ゲート(2009)がどうやって出てきたのかよくわからなかったが、この未来日記でようやくシュタインズ・ゲートの登場が説明できるようになった。新世紀エヴァンゲリオン(1995)から幾つかのステップを踏んで未来日記へたどり着いたものと思われる。

物語構成

1. 最初、主人公に大いなる力が与えられる。

1995年の新世紀エヴァンゲリオンは踏み台になっていると考えることができる。エヴァの場合はNERVによってエヴァが与えられる。未来日記の場合は、未来を予知する力が授けられる。これはよく使われる構成であるがすべてではない。例えば、ワンピースではゴムになるのは悪魔の実の力だが、その後強くなったのはトレーニングによるものであると描かれている。大いなる力の扱い方を通じて、主人公が成長していく物語。これは、ガンダムなどのロボット作品でもよく使われる構造である。

2.12人の使徒

神話などをよく研究してでてきた作品では、そのモチーフが所々に用いられている。12人の使徒もその1つ。未来日記では12人の日記保持者。また、アニメの1クールが12話であることも注意が必要。

3.携帯電話

未来日記のためのキーデバイスとなるのは携帯電話である。これは、シュタインズ・ゲート(2009)でもこれを継承している。人とのつながりを表す端末であると同時に時空を越えるためのデバイスとして用いられた。

4.時間跳躍

望まない過去を変えるタイムトラベルは、バック・トゥ・ザ・フューチャー含め古くからあるが、涼宮ハルヒ(2003)からより先鋭化しており、シュタインズ・ゲート(2009)、魔法少女まどか☆マギカ(2011)などに継承されるタイムリープを実現している。また、この時、問題となる以前の時間軸にいる時間旅行者の問題を「即刻過去の自分を殺害する」ことによって克服するなど、物語の骨格として重要な位置づけとなっている。


人間関係

名前はそれぞれギリシャ神話から来ていると言われている。

主人公:天野雪輝

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なよなよ系主人公

なよなよ系主人公。これはやはりエヴァの碇シンジくんからの血統である。殺しのゲームに巻き込まれるが殺したくない、という葛藤にさいなまれることで物語が進展していく。この少年の成長を見ていくことがこの物語の骨子である。どちらも最後に神になるという点でも共通点が多い。エヴァ(作品にもよるが)では 最後まで大人や社会に翻弄され神になるよう導かれるのに対し、未来日記では明確な脱皮が描かれる。また、近年台頭してきた俺強ぇ系に比べると、まったく正反対と言える。
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父の死、聖剣

エヴァでは父は社会的に立派な人間だが、未来日記で父は控えめに言ってクズ。自己中心的な大人の代弁者である。しかし、それでも父を信じてしまう主人公という中で、その父が刺され、その刺された剣を抜くところから主人公の天野雪輝が大人として脱皮することになる。そのシーンは、いわゆる聖剣を抜くシーンとして意識されていると思われ、父の腹上に刺さったナイフを抜く様は、台座から聖剣を抜くシーンそのものである。

以降に出る輪るピングドラム(2011)では、このやさしい子供の部分ときびしい大人の部分を高倉 冠葉と高倉 晶馬の2人で分け合っていると見ることもできる。また父殺しのモチーフが神話から多く使われている。スターウォーズでは、最後にダース・ベイダーである父を殺して終わり、新しい世界が始まる。

ヒロイン:我妻由乃

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私の「日記」はね、「雪輝日記」よ。雪輝の未来を10分刻みで把握する、私の愛の「未来日記」
控えめにいってサイコパス。冒頭でともかくやばいストーカーであると主人公に思われる。インパクトが強すぎて理解するのが難しいが、育ちや性格も含めて、とても丁寧に作られていることがわかる。実際、後継血統のシュタインズ・ゲートではここにあたるのはラウンダーなどの組織と桐生萌郁だがここまでのサイコパス感は全くない。また、エヴァでも該当する人物はいないことから、別の作品から取り入れられたと考えられる。輪るピングドラム(2011)では、荻野目苹果(おぎのめりんご)に継承される。どちらも愛の表現の一種として使われるが、荻野目苹果がサブ的で利己的な表現(自分とその姉のためのプロジェクトM)として利用されるが、我妻由乃は強力な利他な愛として表現されている。ヤンデレは、たぶんSchoolDays(2005)あたりから派生していると思われる。SchoolDaysはまだ見たことがなくてすまない。

強力な利他精神と殺人技術

関連画像(左下は人の頭)


我妻由乃は、まず精神として強力な利他愛があり、技術としての殺人能力を持っている。その結果、破壊によって願望を叶えるFate/stay night(2004)の汚染された聖杯のような機能を持っていると言える。更に、彼女自身が雪輝を助けたいという意思を持っているため、雪輝のためのオートキリングマシーンである。同系統の育ちと戦闘技術としてARMS(1997)の主人公、高槻涼が挙げられる。未来日記では、元々主人公が敵を倒す技術として持っていた戦闘技術をヒロインに持たせ、かつ社会のためではなく愛する人のためだけに行使するという点が極めて画期的である。これにより、萌・ホラー・愛・アクションが同時に成立してくる異常事態が発生している。
私は殺すしか能のない女だけど…
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監禁

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(命を狙われる雪輝の安全のため、雪輝を監禁しているところ)
愛のために監禁されるケースは度々用いられる。しかし、ここまで強力に用いられたケースは他に知らない。物語シリーズ(2006)で阿良々木が戦場ヶ原ひたぎに監禁される場面もあるが、戦場ヶ原が強いとはいえ力不足であることや主人公の方が強いことなどから、監禁自体の成立が弱い。このため、愛情の表現力が落ちている。また、その後も阿良々木は戦場ヶ原を許すのに対して、雪輝は由乃を許さない。ここでも由乃の利他精神が光る。本人にどう思われようとも、雪輝を守る点に極端に特化している。そもそも由乃の未来日記が雪輝を記した日記であるから、由乃の未来=雪輝の未来であり、自分のことよりも雪輝のことという点で最初の設定から最後まで一貫しているのがわかる。

その他のキーワード

愛しているから殺す

カニバリズム、カマキリの捕食

暴力女

エヴァ(1995)、涼宮ハルヒ(2003)などに流れる暴力女システム



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